伝説の ジョン ビー クロー

 最近、コフマン一家の子供達の間で流行っているお話が、「伝説の ジョン ビー クロー」である。ジョン ビー クローは、もうこの世には、存在しない男性の名前だ。この男の人が、コフマン一家と関係があるかと言えば、そんな事は、全くなし。彼は、トニーのお父さん(子供達にとってのグランパ)の、作り話の主人公なのだ。

 さて、伝説の ジョン ビー クローのお話は、もともと、一家の中でも特におしゃべりで活発なハナが、グランパの家に遊びに行ったときに、お話をせがんだ事から生まれた。話の内容を簡単に言うと、「かなり昔に死んだジョン ビー クローは、建物の中に保管される、特殊な形で葬られている。そして、その建物のドアをノックしたものは、ジョン ビー クローに引き込まれ、そこから一生出られる事はない。」というものだ。それに飾りを付けたり、効果音を聞かせたりして、グランパは、ハナの恐怖心をかき立てている。 さて、一家で一番おしゃべりなハナだけに、ジョン ビー クローの話は、今となっては、いとこ中に行き渡っている。綾花も、クリスマスあけ頃から、「ジョン ビー クローは、骨男」とか、「ジョン ビー クローの部屋をノックしたらダメ」とか、何かにつけて言っていた。私もトニーも言ったい何の話なのか、最近まで、全く知らなかった。

 さて、伝説の ジョン ビー クローの話には、まだまだクライマックスがある。 つい最近、グランパ&グランマが4人の孫を面倒観る日があった。そこで、ついでと綾花も招かれグランパの家に遊びに行った。その日の午後、皆で一昨年なくなった、グランパのお母さんのお墓参りに行くことにし、トニーも一緒に出かけて来たという。お墓参りが終わってセメタリーの敷地内を散歩していると、ジョン ビー クローのお話に出て来たような、棺を保管する建物が、数件あったので、それらをみることにした。そして、一番不気味な建物の看板を、6歳のハナが読んだ。そこには、「Jhon Bee Craw」と書かれてあり、それを口にして読んだハナの目は、大きく見開いたまま、言葉が出なくなってしまったそうだ。

実は、トニーのお父さんは、昨年引退したけど、30年間お花屋さんを営んでいた。アメリカのお花屋さんでは、墓石やジョン ビー クローのような建物式のお墓などに飾り付けるリースを、直接お墓に配達する事が結構多い。そこで、過去30年間、この配達業務を続けて来たトニーのお父さんは、ここにジョン ビー クローという人のお墓がある、という事を知っていて、作り話の中に使ったのだ。なかなかのユーモアというか、かなり出来た作り話で、大人の私たちの方が、大笑いだった。

さて、実際、大笑いできるのは、大人だけで、ジョン ビー クローの話が、本当のものとなってしまった子供達(特にハナ)にとっては、笑えるどころではない。その建物の前で、グランパが、「ちょっとドアをノックしてみようか?」なんていうと、もうパニック状態になって、「ノーノーノー!」と大騒ぎである。

そんなこんなで、我がコフマン一族の子供達は、ジョン ビー クローの話で大盛り上がりな、今日この頃だ。ちなみに、トニーと綾花は、暇さえあると、ジョン ビー クローのお墓を見に行っているようです。これまでゆっくり眠りについていた ジョン ビー クローさんも、最近は、我が一族の子供達が押し掛けては、「ドアをノックしちゃダメ」などと大騒ぎするので、迷惑を被っているだろうな。 申し訳ありません、ジョン ビー クローさん。

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