ジューシーの結婚式は、暑い夏に行われるのは承知の上だったけど、前日から、シシリアは、熱波におそわれ、通常以上に暑い日となった。でも、結婚式は、午後5時半から、披露宴は、午後9時からだったので、まだなんとか耐えられる状態だった。ジューシーは、イタリア人の99%(適当な数字)がカトリックであるように、彼女も、新郎のサルボもカトリックなので、挙式ももちろんカトリック形式で行われた。カトリック家族で育ったトニーには、「イタリアのカトリックは、厳しいから、挙式も長くなるよ」と脅されていたので、心して挙式に望んだけど、これまで出席した、アメリカのものと大して変わりはなく、1時間もたたない間に、挙式は、終わった。
この挙式で驚いたのは、ゲストのファッションだ。イタリアでは、どこにいっても、ファッションの見応えがあって楽しいのだが、フォーマルなイベントとなればもっと見応えはある。全般的には、マダムと呼ばれる年齢層は、黒でまとめる傾向にあったが、中には、トルコブルーのレースのすけすけのドレスをきて、下着もちゃんと見える事を計算尽くした物を選んでこられた、推定年齢50代後半のマダムなどいらして、度肝を抜かれた。私と同年代の、ジューシーの友達は、緑やブルー、ゴールドなど、華やかなドレスに、靴とバッグも素敵な物をあわせて、ファッション雑誌100冊くらいの見応えがあった。
肝心のジューシーは、といえば、こった刺繍のレースの袖のついた、ハイウエストのドレスで、ギリシャ神話に出てくる女神のような感じだった。赤いバラのブーケは、挙式前日まで、迷いに迷った結果、決めた物だった。白いドレス、黒い髪、赤いバラの強いコントラストが、情熱的で気の強いジューシーを物語っていた。
披露宴は、海辺のコテージの庭に、キャンドルライトを沢山ともして、行われた。イタリア人は、ファッションだけでなく、ムードづくりにかけても天才的で、披露宴会場についたとたんに、トニーが恋しくなってしまった。同じテーブルに座った、北イタリアから来た、ジューシーの職場の同僚の、シモナも、「彼が恋しいわ」と、同じような事を言っていたので、それを機に、彼女と色々お話が出来た。幸いにも、シモナは、イギリスへの留学経験があり、英語も話せたのだ。
ムードも満点なら、食事にも満足。そして、10年前、5年前に来たときに知り合った、英語のはなせない友人と、身振り手振りでの会話に花を咲かせ、あっと言う間に楽しい時間は、過ぎていった。披露宴の終わりになって気がついたが、イタリアでは、披露宴でダンスをしなんだなあ。夜通し踊ってお祝いするのは、アメリカくらいなのだろうか?新たな疑問が浮上しながら、披露宴の会場を後にした。
写真は、ジューシーと弟のぺっぺ。挙式に向かう直前。